土曜日、職場の上司の訃報が入る。今日は葬儀に出席するため宇都宮まで。
それにしてもほんのつい先日、去年の年末には優しい微笑みをたたえていた人が、こんなにも早く、そしてあっけなく逝ってしまうとは。今月に入って状況はかなり厳しいとは聞いていたものの、しかしきっと病魔に勝利し、また何事もなかったように職場に復帰するものと信じていたのに。そのあまりにも早い死に、言葉もない。
しかし何故あの人が。この世には罪無き人を幾人も殺めても、のうのうと生き続ける鬼畜がいる。また一方では深い考えも理由も無しに、まるでゲームのリセットボタンを押すが如くに自ら命を絶つ者もいる。なのに何故、その来し方に何の曇りも恥じ入ることもなかったであろう人が、こんなにも早くに逝かなければならないのだろうか。ちらと見上げて天に問うても、帰ってくるのはただ沈黙のみ。
だがいくら考えても詮無きことである。それは世の不条理であると同時に、道理でもあるからだ。送る者に出来ることは、与えられた生を精一杯生きていくこと。それが故人に対するただ一つの手向けであり鎮魂であると、私は信じている。
宇都宮では今、正に桜が満開であった。鈍色の雲が空一面に広がったモノトーンの街中に、ピンクの色がやけに鮮やかに見えた。
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