先日、本屋を物色していて知ったのだけど、筒井康隆の「富豪刑事」が来年一月よりテレビドラマ化されるそうである。小説原作ブーム(なのかどうか知らないが)にのって、ついにこんなのまでドラマ化されるのかと驚いたら、しかも主演は深田恭子だと。ドラマ化かよ、っていうか主人公は女かよ。なんだかもう、なんでもありなんですなあ最近は。
ちなみに原作は、キャデラックを乗り回し、一本八千円以上もする葉巻をスパスパ吹かす神戸大助という男の刑事が主人公で、「富豪刑事」のタイトル通り、どんな難事件でも金にものを言わせて解決してしまう、というギャグのようなお話。それまで(今でもだが)推理小説ではお決まりである「刑事は貧乏くさいもの」という既成概念を根底から吹っ飛ばし、事件は地道で泥臭い捜査と推理によって解決するのではなく、面倒くさいこと言ってないで金で片がつくなら全部それでオッケーじゃんか、という筒井康隆らしいブラックユーモア満載の、ある意味「推理小説のパロディ」的な小説である。
なにせその「富豪」っぷりが凄い。読んでからずいぶんとたつのでかなり記憶があやしいが、たとえばどこかの会社社長が商売敵に殺されてしまうのだけど、その殺害方法がどうしてもわからない。密室殺人のトリックを暴くために、犯行現場のビルを実際に再現し、しかも株式会社まで設立して、その犯人にもう一度「商売敵を抹殺する」という同じ状況に追い込んでしまう。よくもまあそんな突拍子もないアイデアが出てくるものだと感心した憶えがある。その他に誘拐事件やギャングとの闘争などハードボイルド系の話など、各話バラエティに富んだ短篇が楽しめる。
この原作で、しかも主人公が男から女に変わって、はたしてどんなドラマになるのか興味があるところだ。原作の方も本屋に平積みになっていたことだし、久しぶりに読み返してみようかねえ。
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