ここ数年来の NASA のミッションのひとつであるジェネシス・ミッションは、2001 年 8 月 8 日に打ち上げられたポッドが地球の L1(第1ラグランジュ点)を周回しながら2 年半に渡って太陽風のサンプルを収集したのち、再び地球に帰還させるというもの。
このミッション自体もなかなか壮大かつ大胆なプロジェクトなのだが、その探査機ジェネシスが地球に帰還する際、探査機を捕獲するために NASA が採用した方法がこれまた大胆で、ハリウッドで活躍するスタントパイロットと元空軍のパイロットが搭乗する 2 機のヘリコプター(うち 1 機はバックアップ)が降下予定ポイントで待機し、パラシュートを開いて降下してくるカプセルをヘリコプターから下ろされた釣り竿のような長いフックの先に引っ掛けて空中で捕まえるという、単純にして豪快な作戦である。
そういえば以前、火星に探査機を着陸させる時にも巨大なエアバッグを開いて衝撃を緩和させるという前代未聞の着陸方法を見事にやってのけた。そして今度は釣り竿引っかけ大作戦。いい加減なのか精緻な計算の上なのか素人目には微妙なところだが(もちろん後者だろうが)、とにかく凄いと問答無用で思わせるところに、アメリカにおける科学技術の懐の深さを垣間見る思いである。
ということで、ついにジェネシスが地球に帰還となったわけだが、ところが釣り竿で引っかける前に肝心のカプセルのパラシュートが開かなかったため、空中での捕獲に失敗。ポッドはあえなく対地速度 150km/h で地面に激突してしまったらしい。こちらの画像を見てもわかるとおりカプセルは壊れてしまっており、採集器のウエハーが壊れていることやサンプルが汚染されてしまっていることも、ほぼ確実と思われる。ううむ、ダメでしたか今回は。
ちなみにこちらのページでジェネシスを捕獲するためにヘリが発進するところから、あえなく地上に激突するまでの連増写真を見ることができる。地面に突き刺さったジェネシスに、そこはかとない哀愁が漂っているような気がするのは私だけだろうか。それにしてもこのポッドって意外に大きいのにビックリ。もっと小さいのかと思っていた。なんとなく墜落した UFO みたいだが。
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