瀬戸内海に面した岡山県南西部の竹林寺山にぞびえる岡山天体物理学観測所。口径 188cm と日本一の大きさの反射望遠鏡有する天文台の副台長だった著者が、天文台での日常生活を日記形式で綴る。初出は 1971 年に刊行された単行本であったが、30 年以上の月日ののちについに文庫化された。
中学生の時に、学校の図書館でタイトルにつられて読んでみたのが本書との出会いだった。天文学者達の何気ない日常や、星を観測する時の独特の風習や作法が読んでいて愉しく、また美しい星空や移ろいゆく四季折々の風景を、詩や文学、はては歌舞伎のセリフまで引き出して愛でる著者の表現力豊かな文章に感銘を受け、返却するのが惜しいぐらいに何度も何度も読み返した記憶がある。それから二十年あまり。是非とももう一度読んでみたくて、中古本屋やネットオークションなどをことある事にのぞいてみたのだが、どうしても見つからずあきらめかけていたところだった。
それが突然の文庫本での復刊である。正直おどろいた。初出から 30 年以上たって、一体どういう経緯で文庫本化されることになったのだろうか。ともあれ、私の宝物の本がまた一冊手元に増えたことに、心から感謝したい。
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