「巷説百物語」、「続巷説百物語」に続く、「百物語」シリーズの第三弾。時は江戸から明治へと移り、不思議なものが不思議ではなくなってきた時代。現代の不可思議な事件とかつて起こった不可思議な事件を、山岡百介が繋ぐ。
前作「続巷説百物語」の結末から、3、40年は経っているという設定で、はたしてとうに終わってしまった物語をどうやって繋ぐのかと思えば、まさかそう来たかという感じ。文明開化の世の中で、滅びたはずの怪異は、人の心に闇がある限り、その血脈を保っているのですなあ。それにしても最後に百助は何を見たのだろうか。
ちなみに最後の二章は「妖怪」シリーズにつながる。なので「百物語」シリーズの前二作はもちろんのこと、できれば「妖怪」シリーズ全作を読んでおいた方がさらに本書を楽しめる。もっともそれらを全て読むとなると、膨大な読書時間がかかるわけだが。
さらにちなみに、本書の装丁は非常に美しいのも特色。紙質もいいし、ちょっとした挿し絵も大変よく出来ている。ただ眺めるだけでも嬉しくなる本というのも珍しい。本屋の店頭で見かけたら、是非手にとってご覧になることをおすすめしたい。
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