今年も残すところあとわずかになった年末である。月初めの頃はさほど感じなかった寒気も、月の半ばを過ぎたあたりから一気に季節が進み、やおら寒くなってきた。今日もスカッと晴れた、まさに冬の晴天。放射冷却のためか、今朝はかなり冷え込んだ。都内やその他の関東の平野地域でも初氷のところもあったらしい。いよいよ冬本番という趣である。
そんな寒いときには風呂にかぎるのだった。今日は冬至。柚湯である。柚の香りが立ち上る湯に浸かっているだけで、体だけじゃなくて頭の中まで浄化されるような気になるから不思議だ。
ところでこの柚湯、もともとは大陰暦での冬至(11 月の下弦の日:11 月 23 日)に湯を沸かして沐浴をしたのが始まりだそうで、江戸時代の「薬湯」ブームにのって定着したそうな。柚湯に入れば風邪を引かないといわれているが、かぼちゃの色素カロチンは体内でビタミン A の働きをするし、柚など柑橘類の皮に含まれている芳香油の作用は肌荒れをスベスベにし湯ざめを防ぎ、冬の美容と健康にかなった生活の知恵であった。こういうことを昔の人は経験的に知っていたわけだ。
一月の「松葉湯」、三月の「よもぎ湯」、五月「菖蒲湯」、八月「桃の葉湯」など、季節の薬草を風呂に入れ、季節の情緒を楽しみながら身近な薬草の薬効を得るという「薬湯」は日本の優れた文化である。先人は四季のうつろいを味わいながら、体に良い薬湯に入るという、現代の我々にない贅沢な暮らしをしていたのだ。見習いたいもんですなあ。
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