帰ってきた みくだり日記

風邪っぴき #3

昨晩からひたすら眠り続けた甲斐があったのか、熱はあらかた下がった。だが、頭痛、節々の痛さ、体のだるさが抜けない。喉の痛みにともなって、咳もまだちょっと出る。どうにも今ひとつという感じである。なので、今日は会社をお休み。

ところで今回、私が罹患した風邪様疾患は、単なる風邪なのか、あるいはインフルエンザなのか、どちらなのだろう。

感染症情報センターの「インフルエンザ Q&A」によると、1．突然の発症、2．38℃を越える発熱、3．上気道炎症状、4．全身倦怠感等の全身症状 の四つがインフルエンザの代表的な症状と定義されるそうである。今回の私の場合、このうち、1、3、4 は該当するが、発熱は 38℃ まで達していないので、定義を完全には満足していない。しかしその時の体調や個人差によって、発症後の症状はかなり異なるらしく、全てがこの通りとはいかないこともあるようだ。また単なる風邪の場合は、関節痛などを含む 4 の全身症状を引き起こすことはほとんどないらしい。それらから考えると、今回の私が罹患したものはインフルエンザであると考えるのが妥当と思われる。もちろん断定するにはそれなりの診断キットを使って、ウイルス種の同定を行う必要があるが。

ちなみについ先月の中頃に、インフルエンザワクチンの接種を受けているのだった。ワクチンを接種したからといって、インフルエンザの罹患を 100% 阻止できないことはわかっている。しかし、まだ打って間もないのにいきなりかかりますか。まあワクチンを打ったからこの程度で済んでいるのかもしれないが、とりあえず注射代金 3,300 円返せと私は言いたい。

風邪っぴき #2

今朝起床してみると、頭痛、節々の痛み、そして体全体のだるさと、お約束通りの風邪の三大症状に見舞われる。やはり来てしまったか。とりあえず午前中は休むむねを会社に連絡し、あとはひたすら寝るのみ。

お昼頃に起き出すと、なんとなく体が軽くなったような気がする。頭も痛くなく、ちょっと腰に違和感はあるものの、朝のような関節の痛みはない。今日は午後から都内某所で打ち合わせがある。当初は休むつもりだったのだが、これだけ調子が戻れば行けるのではないか。逡巡の後、思い切って出掛けることにした。今思えば、当然ながらそれがそもそもの間違いだ。

帰宅してからいきなり悪化。発熱、悪寒、全身の関節痛がぶり返し、さらに咳が止まらなくなる。喉から胸にかけても痛い。気管支がやられたか。そりゃあ風邪っぴきなのに電車に揺られて都内まで行き、気力も体力も消耗すればぶり返すに決まっている。それもこれも、あんなクソつまらない会議のために。ああ俺のバカバカ。やっぱり家で大人しく寝てれば良かったよ。

と、後悔しても後の祭りである。今、こうしていてもキーを打つ手首と肩が痛い。こりゃ、明日も会社お休みですなあ。暢気に言ってる場合か。

風邪っぴき #1

朝、寝起きに猛烈にだるいのはいつものこととして、どうも先週末あたりから喉が痛くてしょうがないのである。食べ物を飲み込む時にも、何か引っかかりのようなものを感じる。もしやと思い鏡の前で口を全開にして様子を見てみた。他人様にはけして見せられない、かなり間抜けな己の姿に嫌悪しながら咽頭部を精査してみると、やはりかなり赤みを帯びている。いやあ、真っ赤ですがな真っ赤っか。

私はいわゆる「喉から来る」タイプ。これはもう、真性の風邪っぴき初期段階に間違いない。思い出してみるに、最近急に朝晩涼しくなってきた。いまだ夏秋装備の薄着で寝ているからか、朝方に寒くて目が覚めることが何度かあったような気がする。寝冷えてしまったのだろうか。子供か私は。

さて、いつもの感冒罹患早期の例でいくと、このあとに異常な肩こり、背中のだるさ・痛みが続くわけだが、そういえば腰全体が妙に重いような痛いような、不快な違和感があるような気がする。てっきり先週の TDL 疲れから来た単なる筋肉痛かと思っていたが、風邪要因による関節痛だったようだ。

これは来る。間違いなく、来る。ヤツだ！ヤツが来たんだ！喉が赤いだけにな。ともあれ、何かのコマーシャルでも言っていたとおり、風邪はひき始めが肝心である。今日は早く寝るようにしたい。季節の変わり目の折り、皆様もご自愛下さい。

「リスクテイカー」

「リスクテイカー」　川端 裕人：文春文庫

ビジネス・スクール卒業後、ヘッジファンドを旗揚げした三人の若者が、伝説的ファンドマネージャーの出資によってウォール街に挑戦状を叩きつける。最先端の金融工学理論を駆使して、国際為替市場に仕掛けた三日間戦争。そのスリリングなマネーゲームの結末に見える「マネー」の正体とは！（背表紙より）

デリヴァティヴ、オプション、ヴォラティリティ、レヴァレッジ。まるで RPG に出てくる魔法の呪文のようなこれらの単語は、全て本書に登場する金融関連の言葉である。正直言って、全て初めて聞いた言葉だらけだし、そもそもこの物語の基本である”ヘッジファンド”という言葉すら、新聞の経済欄で見かけたような気がしないでもない、というぐらい金融関連にはとんと疎い私である。なので、この本で描かれているマネーの世界を完全に理解することは早々にあきらめて（ちょっとは調べてはみたが）、とにかく読み進めてみた。はっきり言って、これらマネー関連の説明があまりに多すぎて（そして理解できなくて）どうにも中だるみしたところもある。

だが、そんな金融オンチの私でも最後まで面白く読むことができたのは、本書が単なる金融小説にとどまらないからだろう。いい年をした大人が、様々な紆余曲折を経て夢のようなことをやってのけるカタルシス。「ロケット」だったモチーフがここでは「マネー」に変わったが、この爽快な達成感に、著者の名著「夏のロケット」と同様の良質な青春小説の香りを感じるのである。まあもちろん金融関連の事象がきちんと理解できれば、本書をより一層面白く読めるとは思うが。

ところで主人公三人の他にも、一風変わった脇役陣も魅力的。主人公たちに 4 億ドルもの大金をポンと出資する伝説的ファンドマネージャーのルイスや、ゲイの敏腕トレーダーのピート、元 NASA の軌道計算技術者だったルーディなど、誰もが「食えない」連中ばかり。中でも、製鉄に人生を賭けた元技術屋で、ヴァーチャルな金融よりも物作りの大切さを三人に説く、どこか浪花節漂う日本人・タカハシが私は結構好きだったりする。それはやはりタカハシがそうだったように、私が正に物作りの技術屋だからだろうか。何億ドルもの大金を一瞬にして生み出すマネーの世界も刺激的だろうが、やはり現実に手にとって触れる「モノ」を作り出す方に、私は断然魅力を感じるのである。やっぱり俺は金持ちにはなれそうにないですね。