早いもので WRC 2003 年シーズンも、59th Wales Rally GB(グレートブリテン)を残すところのみとなった。例年であればドライバーとマニファクチャラーのポイント争いも、グレートブリテンの前までにはあらかた大勢が決まっているのだが、今年は特にドライバーズチャンピオンのタイトル争いがとんでもない接戦になっているのである。なにせわずか 5 ポイント差の中に、セバスチャン・ローブ(63ポイント)、カルロス・サインツ(63ポイント)、ペター・ソルベルグ(62ポイントの 3 人のドライバーがひしめき合うという、史上最も激しい決戦となる。
(リチャード・バーンズ(58ポイント)にも優勝するチャンスがあったが、健康上の理由によりグレートブリテンを欠場。出られないのは残念だが、その前にほんとに大丈夫か、バーンズ)
しかしシーズンが始まる時に、はたしてここまで接戦となることを誰が予想できただろうか。こういう状況になった大きな原因として、昨年のチャンピオンであるマーカス・グロンホルムの意外な失速や、コリン・マクレーやトミ・マキネンなどベテラン勢の不振が挙げられるが、やはり最も大きな理由は若手ドライバーの台頭だろう。よもやローブやソルベルグが優勝争いに絡んでくるとは全く思っていなかった。WRC にも新旧世代交代の大波が打ち寄せつつあるわけである。
それはともかく、一体誰が勝つのか。まずは現在の WRC でのポイントはこうだ。
1位 - 10ポイント
2位 - 8ポイント
3位 - 6ポイント
4位 - 5ポイント
5位 - 4ポイント
6位 - 3ポイント
7位 - 2ポイント
8位 - 1ポイント
さらに全戦が終了してドライバーズポイントが同点の場合、シーズン中のポディウム圏内(1 位から 3 位まで)の成績を比べてシーズン優勝者を決定する。
したがってここまでの獲得ポイントとボディウム回数を考慮して計算上すると、勝利の行方はこうなる。
セバスチャン・ローブ(63 ポイント)
・優勝すれば無条件でタイトル獲得
・サインツが1ポイント以上獲得した場合、サインツより上位でフィニッシュすることが条件
・ソルベルグより下位の場合、ポイント差は1ポイントまでが条件
カルロス・サインツ(63ポイント)
・優勝すれば無条件でタイトル獲得
・ローブが1ポイント以上獲得した場合、ローブよりも上位でフィニッシュすることが条件
・たとえローブがリタイアしても、最低 1 ポイントは獲得することが条件
ペター・ソルベルグ(62ポイント)
・優勝すれば無条件でタイトル獲得
・サインツより 1 ポイント以上多く獲得することが条件
・ローブより 2 ポイント以上多く獲得することが条件
グレートブリテンは泥や石にまみれたグラベル(未舗装)を走るラリーなので、比較的グラベルを得意とするサインツが若干有利だろうか。だがソルベルグは昨年のグレートブリテンで優勝したし、ターマック(舗装路)は鬼のように速いローブも、最近はグラベルだってかなり速くなってきた。さらに今年限りで引退を表明したマキネンも、有終の美を飾るべく猛アタックをかけるだろうし、グロンホルムやマクレーだってだまっちゃいないだろう。さらに優勝争いからは圏外だが、今年成長著しいマルコ・マルティンも優勝を狙うと公言している。こうなると誰が勝ってもおかしくはないわけで、その結果如何によってはドライバーズチャンピオンの行方も変わってくるかもしれない。
ということで、限界ギリギリの全開バトルが必至な WRC2003 最終戦のグレートブリテンである。いったいどんな結末を迎えるのか。今週末のウェールズの森は、ことのほか熱くなりそうだ。
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