昨今、大手電機メーカなどで、フレックス勤務を廃止する傾向が増えているそうである。あまり馴染みのない人もいるかもしれないので一応説明しておくが、フレックス勤務とは、一日の中で決められたコア時間(例えば 10:00~15:00 など)さえ出社していれば、出勤時間も退勤時間も各人の裁量に任される、というものである。個人のライフスタイルに合わせた勤務形態ができることがウリで、バブル時期から世の中に浸透した勤務形態である。私もいわゆるところの「バブル時代」に社会人となったクチで、そういえば当時はちょっとした規模の企業であれば、どこもかしこもフレックス勤務であることを前面に打ち出して人集めをしていた記憶がある。思えば良い時代ではあった。
そんな一部の社員には大変ありがたい制度であったフレックス勤務が、ここに来て見直されているのは、曰く「情報伝達の不備が目立って来たから」というのが大きな理由の一つだそうである。この「情報伝達の不備」が具体的に何を指すのかというと、たとえば他部門との会議の時間が合わせにくいとか、重要な連絡事項が伝わりにくい、あるいはメンバ間の連携が非効率に陥りやすいなど、主に社員間、あるいは部門間コミュニケーションの欠如が問題とされているらしい。
そんなもの、今どき電子メールやイントラネットでも使えば、わざわざ同一時刻に物理的に面と合わなくても、いくらでも情報共有なぞできるではないか、という反論は正論であって、そして主流論にならないのが世の不条理である。要するにフレックス勤務制度のような「ヌルさ」を許容できないほど、世の中に余裕が無くなってきたわけだ。
そしてついに、私を雇用する会社も、この十一月からフレックス勤務制度を廃止することになったのであった。入社以来、十数年間、このありがたい制度にどっぷり浸かって過ごした蜜月は先月ですっぱり終わり、今日からきっぱり決められた時間にきっちり出勤しなければならないのである。おろろーん。こういう余計なところだけ大手企業の真似をするのは今に始まったことではないが、なにもフレックスを止めることはないではないか。
ともあれ、これから毎朝、今までより一時間早く起きなけりゃならん。って、起きられませんがな。すっかり体に染みついた生活のリズムは、そうそう簡単にシフト出来るものではない。仕方ない、まずは二週間、試用期間ということでどうか。なにがどうかだか。このヌルさがダメですか。
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