紺碧の海とココナッツの香り漂う南の島での休暇は瞬く間に過ぎ、水曜日の夕方にホコリとスモッグでどんより鈍色の空と八角の臭いが充満する北京に帰還。せめてあと一週間はいたかったけれど、労働の対価にサラリーをいただく身として、そんな暴挙は許されるはずもなし。
ということで、南の島の余韻に浸って忘れないうちに、サムイ島の印象をいくつか。
・英語が通じるが出てこない
サムイ島はタイでも有数の観光地であり、欧米からの観光客が多い。そのためホテルはもちろん、街中のスーパーやコンビニ、レストランのどこでもたいてい英語が通じる。そういう意味では日本人にとって旅行しやすいとことではあるが、問題はこちら側。中国に長く住み、日頃から中国語のみを使っていると、頭の中では「外国語=日本語以外=中国語」という神経回路が完全に出来上がってしまっている。そのため英語で何か喋ろうとしても、とっさに出てくるのは中国語のみ。単に yes/no を言うだけの場面でも「対」「不是」と言ってしまったり、中国語・英語のチャンポン(「非常 good」とか)になったりして大変焦る。簡単な受け答えでもこれで、さらに少し複雑なセンテンスになると、一度中国語で考えて慌ててそれを取り消し、ふたたび英語に組み直してようやく発音するという過程を踏まなければならず、いちいち時間がかかる。まあ元々英語は得意ではないが、それにしたってこれはどうか。しかし今回の旅は「中国語の聞こえないところに行きたい」という理由で場所を選んだのに、自分の頭の中で常に中国語が鳴り響いているというオチ。まあしょうがないか。
・微笑みの国
「微笑みの国」と呼ばれるタイ。サムイ島でも出会うタイ人は皆、常に微笑みを絶やさず、いつでもにこやかに対応してくれる。ものの本によると、タイ人は争いを好まず、敵を作らず、相手の懐に飛び込むために微笑みを絶やさないという。その他、気候風土的にも温暖でのんびりしていることや歴史的背景(タイは日本と同じく、欧米の植民地化を免れているアジアでも数少ない国)、民族的な気質というのも理由なのだろうか。まああの笑顔の裏にはいろいろな思惑があるのかもしれないが、誰も彼も愛想の欠片もない中国からやって来ると、実に心和みますわ。
・日本製品が席巻
サムイ島は比較的小さい島ながら、起伏に富んだ山がちなところ。なので走っている車もいわゆる 4WD タイプの大型車が多いが、道行く車のほぼ全てが日本車である。四日間の滞在中、BMW とプジョーのセダンを一台ずつ見かけた以外は、トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、三菱、そしてスズキの車であった。また地元のタイ人や旅行者がレンタルして乗っているバイクも非常に多いが、これまた HONNDA に YAMAHA、SUZUKIのロゴが(ただしバイクは中国製のパチものの可能性もある)。ホテルやレストランに置いてある電化製品も、SONY の DVD プレーヤに東芝の液晶テレビに冷蔵庫と日本製ばかり。コンビニには日本のお菓子(当然現地生産品だが)が陳列され、レジの横で売っていた乾電池は Panasonic の EVOLTA。タイは親日国と聞くが、こういう国こそ大切にする必要があるんじゃなかろうか。
・コンビニやたら多し
サムイ島は小さい島なのに、やたらとコンビニがある。特に繁華街の道沿いには日本の都会並み、数百 m 毎にあるのには驚いた。そしてそのコンビニはセブンイレブンかファミリーマートのどちらか。店に入ると品揃えは非常に豊富で、トムヤククン風味のインスタントラーメンなど、いかにもタイというもの以外は、雰囲気は日本のコンビニとほとんど変わらない。店員のタイ人は当然ながら「微笑み」で対応。品揃えがなんだかショボくて店員の態度も悪い北京のセブンイレブンと比べるとずいぶんな違いである。しかしこれだけ店舗が多いといくらなんでも過当競争のような気がするが、どうなんだろうか。
次にタイに行くのはいつになることやら。
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