この土曜日から十日間の日程で、かみさんは所用で日本へ。未だ寒さの残る北京から初春の日本へ、というか、何の気兼ねもさしたるタスクもなく日本へ行けるというだけで羨ましい限りである。まあ私だって年に何度かは日本に帰るが、夏休み以外は全部仕事絡み。スケジュールもギチギチに詰まり、飛行機に乗って仕事して、そしてそのまま帰ってくるだけという案配だから、慌ただしすぎて落ち着く暇もない。たまにはゆっくり日本に帰りたいものよのう、と思っても次は夏休みか。あと数ヶ月先だと思うと気が遠くなりますな。
そういえば北京に来てからこちら、日本の春もすっかりご無沙汰である。桜もここ数年全く見ていない。桜咲き、草木萌えゆる日本の春を思うと、春とは名ばかりでやたら埃っぽい(春だけじゃなくて年中埃っぽいが)北京で暮らしていると、なんだか別世界の話のように思えてきますなあ。
埃っぽいと言えば、土曜日にはついに今年初の大規模な黄砂が北京にやって来た。朝起きると、太陽は出ているのに空が薄暗く、まるで古い写真を見ているように街中がセピア色になっている。いやセピア色と言うより真っ黄色か。建物も道路も街路樹も停めてある車も、うっすらと黄色い埃をかぶっている。確か今年は冬の間に雪や雨が比較的多くて、黄砂も例年より少なめと中国の気象台が予測していたような気がするが、全然話が違うじゃんかよ。と言ったところでやって来た黄砂の前にはなすすべ無し。いやしかし、比喩でも誇張でもなく見事に全部が真っ黄色ですわ。
ところでここのところやたらと喉がいがらっぽいのが続いていただのだが、さらに先週あたりからは鼻水と目の痒みも出現するようになってきた。最初は風邪でもひいたかと思っていたが、これは日本にいた頃の花粉症の症状に似ている。しかしこの季節、まだ寒い北京では何かの花粉が飛ぶにはまだ早く、そもそも北京にはスギの木がない。飛んでいるのは黄砂ぐらいのものである。黄砂か。黄砂かよ。
なんでもここ数年で日本でも黄砂アレルギーなるものが増加傾向とのことで、聞くところによると中国人や中国で暮らす日本人の間でも発症者は多くなっているらしい。思い返すに、三月に入ってから一気に症状が酷くなってきたような気がする。そしてそれは黄砂の飛散量と一致している。ううむ、やはり私も発症してしまったのか。
ちなみに昨日の日曜日はまだマシだったが、本日は再び黄砂が大量に舞っているようで、一日中空は真っ黄色である。この黄砂、ジェット気流に乗って多分明日には日本に到達すると思われるので、黄砂アレルギー持ちの方はご注意されたい。
そして私は目が痒い。鼻水が垂れる。喉がイガイガする。肺が痛い。スギのない国に来たと思ったら、今度は黄砂かよ。もうほんと、勘弁して。