日本では昨年、北京オリンピックが開かれたこともあったからというのはともかくとしても、新聞もテレビもマスコミはこぞって「中国すげえ!中国最高!」と宣伝に驀進していたと聞く。
しかしオリンピックも終わり、そして金融危機の大波が中国へも達し、特に中国南部地方の経済活動が文字通り壊滅的な打撃を被り、毎日あちこちで人民暴動が勃発するようになると、それらはパタッと報道されなくなったらしい。と、これはネットや人伝に聞いた話なので中国に対する報道が今本当にそうなのかよくわからないが、GDP 10% の成長だの米ドル保有世界一だのと何となく胡散臭かった話がやっぱり信用できないとわかってくると、さすがの赤く染まった日本のマスコミも、いい加減ヤバイと感づいたのかもしれない。
そういえば最近、こんな記事もあったが、なにやら天安門事件の前の不穏さを彷彿とさせる。中国政府はあの時の轍を踏まないために不満を持つ若者を半ば強制的に帰郷させようとしているのだろうが、そもそも人口統計も戸籍も滅茶苦茶なこの国で、誰が本当に帰ったのかなんて分かるわけもないのじゃなかろうか。
不穏と言えばもう一つは鳥インフルエンザである。今年に入ってから、中国の各地で鳥から人への感染と思われる鳥インフルエンザによって患者が多数発生しており、死者も出ている。在北京日本大使館の Web サイトに今までの状況がまとめた情報がある。
■ 在中国日本国大使館
http://www.cn.emb-japan.go.jp/index_j.htm
これらを読むと、すでに発見された感染例以外への感染のないことが確認されている事例では既に医療観察は解除されているが、未だに厳重な監視状態となっているところもある。今まで確認された限りでは感染者は鳥との接触歴が多かったことから、鳥から人への感染によるものと思われ、人から人への感染を疑わせるような事例は今のところ出ていない。一月下旬は春節(旧正月)だったことから、お祝いに鳥でも絞めて料理を作った人が多かったのだろうか。とりあえず現在確認されている毒性の強い鳥インフルエンザ・ウィルスは、鳥から人へ感染することは あっても、基本的に人から人へは感染することはない。しかしウィルスの突然変異により鳥インフルエンザ・ウィルスが人から人へ感染しやすい性質を獲得する可能性は常に存在する。
しかし、今までも中国各地で散発的な鳥インフルエンザの感染は報告されてきたが、これだけまとまった数の感染例が一気に出て来たのは初めてではないか。それも地理的に遠く離れた場所で、同時多発的に発生しているのが不気味である。しかも春節の休暇も終わり、地方から都市へ戻る U ターンラッシュもそろそろ落ち着いて来つつある頃だ。田舎で知らないうちに鳥インフルエンザに感染した人が何人も都会へ帰り、そこから爆発的な感染(パンデミック)が始まる可能性も十分にある。
それを見越してかどうかは知らないが、「海外で新型インフル発生時、政府機で邦人帰国も」などという新聞記事もあった。記事中の「海外の発生国」とは暗に中国のことを言っているような気がしないでもないが、この国に住んでいる者としては出来ればこういう事態にならないことを祈りたい。いやまあネタとしては面白いけれど、文字通り命がけの体を張ったネタってのは私の芸風じゃないしなあ。芸風の問題か。
そういえばかつての SARS の時も爆発的な流行が発生したのもこの時期だったか。こういう時こそマスコミの徹底的な取材と正確な情報提供をお願いしたいところだが、「中国すげえ!」ばっかりじゃないところを見せてもらいたいもんですが。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。