■ Voyager celebrating three decades of flight
1977 年に打ち上げられた NASA の探査機ヴォイジャー 1 号と 2 号が、このほど打ち上げ 30 周年を迎えたとのこと。
NASA がヴォイジャーを打ち上げたのは 1977 年。8 月 20 日にヴォイジャー 2 号が、続いて 9 月 5 日にヴォイジャー 1 号が宇宙へ飛びたった。1979 年に相次いで木星を通過した両探査機は、猛烈な嵐が渦巻く大気の様子や激しく噴火する火山の映像が実に衝撃的だった衛星イオの画像など、多くの興味深いデータを地球へ送ってきた。
その後、ヴォイジャー 1 号は 1980 年に、2 号は 1981 年にそれぞれ土星へ接近し、土星の環が近くの衛星の影響で波打つようすなどを写真に収めた。木星と土星の探査を終えた後、ボイジャー 2 号は太陽系のさらに奥まで探査を進める、天王星に 1986 年 1 月に、海王星には 1989 年 8 月に接近した。海王星の、正に広漠たる海を思わせる見事な碧さには、感動で打ち震えたものである。ヴォイジャー 1 号から見た太陽と惑星の写真も素晴らしかった。太陽系の果てしない広さと、そして地球のあまりにも小さい姿が実感するのに、これ以上の映像はない。
その後ヴォイジャー 1 号、2 号はさらに外側へと飛行を続け、太陽系の最外縁部を調べる旅を続けてきた。2004 年 12 月に、1 号は太陽から 140 億 kmの距離、太陽風が恒星間ガスの影響を受け始めている「太陽圏境界域」に到達した。現在ヴォイジャー 1 号は人類が作り上げた人工物としてはもっとも遠い位置にあり、その距離は太陽から約 155 億 km。一方のヴォイジャー 2 号は、太陽から 125 億 km の距離に達している。もはや遠すぎて太陽電池も使えない距離だそうだが、放射性同位体を使った熱電池で両探査機に搭載されている五つの機器は、すべて順調に作動しているそうである。打ち上げから 30 年が経ち、宇宙という想像を絶する過酷な環境下でそれでもなお観測機器が動き続けていると聞くと、技術屋の端くれとして感服と尊敬の念を送るしかない。アメリカという国は、時にとんでもない物を作り上げるものである。
ちなみに現在は未知の領域に吹く太陽風の様子やそこに存在する高いエネルギーをもつ粒子、磁場や電波などのデータの収集が続けられており、情報は片道 14 時間かけて地球に届けられている。遠いところまで行ってしまったのだなあ。
両探査機には銅版製のレコードが積まれており、地球上の音や画像、地球の位置を示す情報が収められている。いつの日か異星人がヴォイジャーを回収し、そしてこのレコードを解読する時が来るだろうか。そう想像すると非常に愉快な気持ちになるが、さらに考えると遠い未来、宇宙のどこかで、他ならぬ地球人が再びヴォイジャーと出会う日がいつか必ずやって来る。ヴォイジャーの Web サイトを眺めながら、私はそんなことを夢想するのである。
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