すっかり冬の様相となった北京。昼間はかろうじてプラスにはなるものの、朝夕は連日氷点下まで気温が下がり、手袋をしていないと手がかじかむほどである。しかしこれでもまだまだ序の口。年が明け、春節が近くなってくるとさらに気温は降下していき、正に厳冬と呼ぶにふさわしくなる。
その昔、北京は冬になると野菜を栽培することができなかったそうである。現在のように温室栽培技術もなかったころには、これだけ寒くもなれば野菜を作るどころではないのも当たり前ではある。ではどうしたかというと、保存用に白菜を買ったそうだ。白菜は貯蔵しやすくて長持ちなので、初冬に家族が食べる 3 ヵ月分の白菜を買い、貯蔵する。どこの家でも白菜を買うために行列をつくり、 100~200 斤(1 斤は約 500g)の白菜をたくわえて、冬野菜として用意したのである。最近は野菜のハウス栽培技術が発展し、厳寒期でもさまざまな野菜が市場に出まわるようになった。保存のために白菜を山のように積んでいた風景は、もうあまり見られなくなった。ここ数年来、白菜を貯蔵する人がほとんどいなくなったそうだが、白菜は相変わらず最も人気の野菜である。
ということで、寒い季節には鍋に限り、そして北京の冬といえば白菜。となれば当然の帰結として白菜を使った鍋を喰う。これぞ北京の冬の正しい食生活である。
ちなみに近所のスーパーで、大ぶりの白菜一株が 8~10 元(約 120~150 円)。これでも有機栽培なので少し高めで、普通の白菜なら 5 元ぐらいか。一株買えば二人で鍋にしても二三回は喰える。素晴らしい。
土鍋に白菜ときのこ各種、クコの実、生姜、バラ豚肉などなどを入れ、適当に煮込む。これが北京風なら羊肉に八角と香菜、四川風なら唐辛子を大量にぶちこんで激辛風味にするところだが、我々日本人としてはせっかくの白菜の風味を楽しみたいところである。豚肉と白菜から出る旨味を出汁に、あとは塩胡椒で味付けするだけのあっさり風味。
鍋の具をあらかたたいらげた後、おじやを作る。これまた美味し。
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