各地で爆発・炎上を繰り返しているソニー製のリチウムイオンバッテリ問題。ついに全世界でリコールすると発表、ノートPCメーカ各社がこれに対応を始めたようである。
まず、すでに 410 万個のリコールを実施しているデルがさらに 10 万個の回収を公表。発火の危険はない別の欠陥で 34 万個のソニー製バッテリリコールを実施した東芝も、さらに 83 万個をリコールすると明らかにしている。東芝のコメントによれば、これはソニーからのリクエストによるもので、東芝製ノート PC の発火事例は確認していないものの「ユーザの不安解消」のためであるとのこと。また数量は不明だが、富士通も自社製ノート PC19 モデルで使われたソニー製バッテリを回収すると発表した。
また、先日ロサンジェルス空港で炎上騒ぎを起こしたIBM 製 ThinkPad もバッテリの自主回収を決定した。ちなみに私も ThinkPad を愛用しているが、使っているのは X32 なのでリコール対象外であった。ユーティリティソフトで搭載されているバッテリを調べてみると、メーカは三洋電機。たしかに違う。ひとまず爆発・炎上の心配はないが、リコール対象だったらバッテリが新品になったのに、とちょっと残念だったり。
ソニーの発表によると、今回の問題はセルの一部に混入した金属粉によるショートであるとしている。ショートを起こした電池セルは通常ならば電池機能を失うのみだが、まれに電池セルの加熱や発火を引き起こす。このような事象が発生する可能性はノート PC のシステム構成の違いの影響を受けるとのこと。リチウムイオン電池は高性能だが、リチウムという発火しやすい物質を使っているため、本質的に過熱や火災のリスクがある。もちろんそうならないように二重三重の冗長性を持たせた安全装置をつけたり、異常な温度上昇や過充電・過放電を出来るだけ防ぐコントロールシステムを装備してはいる。しかし今回の問題ではそれら安全弁を突破して発生してしまったのであり、「ノート PC のシステム構成の違いの影響を受ける」というコメントも言い訳がましく聞こえなくもない。
それにしても今回のリコールは対象数、対策のための金額ともに桁外れのものになりそうである。BRAVIA の好調な販売などによりようやく業績も上向き加減になってきたところに、強烈なカウンターパンチを喰らった格好になってしまった。期待の PS3 のラウンチにもなんとなく暗雲が立ちこめている気がする昨今、はたしてソニーはこれからどうなるのか。個人的には好きなブランドなんで頑張ってほしいんですけどね。
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