2005年 WRC 第十三戦は、ラリー・ジャパン。昨年 WRC に昇格し今回は二回目となるこのラリーは、北海道の帯広をベースとして開催される。コースは細くツイスティなグラベルロードが特徴的で、WRC イベントの中でもかなり難しいタイプのイベントと言われる。
昨年第一回目の開催ではワークスチームの数はわずか 4 チーム、WR カーの数も全部でたったの 9 台と、いささか寂しげな感じだったが、今回は昨年活動を休止していた三菱とシュコダが目出度く復帰し、ワークスチームは6チーム、参加する WR カーも全部で 15 台と大幅増加。なんとかまともな WRC イベントと言える体をなしてきたわけである。
今回の見所はやはりセバスチャン・ローブ(シトロエン)の動向か。今期は十二戦中八勝と圧倒的な強さを見せ、二年連続のドライバーズ・タイトル奪取も目前。前回のグレートブリテンでも最終レグまでぶっちぎりでトップを快走し、タイトル取得は確実のはずだったが、あの忌まわしい事故により自らペナルティを受けて優勝を辞退。栄冠獲得は持ち越しとなっていた。仕切直しとなる今回のラリーでは、何の迷いもしがらみもなく全開で勝ちに行くのは当然なわけで、今シーズンの実力と実績からすればラリー優勝、そしてタイトル連覇を決める確率は非常に高い。
対抗はペター・ソルベルグ(スバル)とマーカス・グロンホルム(プジョー)。今年は何故か調子が今ひとつ上がらないソルベルグだが、昨年のこのイベントでは記念すべき第一回ウィナーとなっており、またチームのホームイベントということもあって、ここは意地でも負けられないはず。また最近ようやくかつての速さを取り戻しつつあるグロンホルムも、せめてローブに一矢報いたいと狙っているだろう。ある意味「弔い戦」でもあるこのラリー、本人も期するところがあるはずだ。個人的にもグロンホルムには是非とも一発頑張ってもらいたい。というか勝て。男なら必ず勝て。ここで勝たずにいつ勝つかグロンホルム。
その他、後半戦になって調子の上がってきたハリ・ロバンペラ、ここ一発の速さには目を見張るものがあるジャンルイジ・ガリ、久々の WRC 出走となる「パニやん」ことジル・パニッツィの三菱勢、いい加減結果を出したいクリス・アトキンソン(スバル)、意外とやるかもしれないミッコ・ヒルボネン(シュコダ)、謹慎処分が良い意味でショック療法になったフランソワ・デュバル(シトロエン)など、伏兵達も虎視眈々と表彰台を狙っているに違いない。サーキットをグルグル回る F1 などと違って、普通の一般道を全速で走り回るのが WRC の魅力であり、そして何が起こるのかわからないのもまた、この競技の面白さの一つである。三日間の長丁場の末、勝つのははたして誰か。それを予想することは難しいが、少なくとも火花散る全開バトルが展開されることは間違いない。
世界的な人気のわりに、何故か日本ではマイナー感が否めない WRC。しかし今回はここ日本が舞台である。昨年のイベント成功を受けて、今年は去年以上にマスコミの注目度も上がっているようだ。市販車をベースにして、一般道を世界で一番速く駆け抜けるために造られたモンスター・マシンの美しさ。cm 単位でマシンをコントロールしつつ、コーナーというコーナーを信じられないスピードでドリフトをブチかましていく、トップ・ドライバー達の神業のようなドライビングテクニック。それらをテレビのニュースなどで見かけたおりには是非ともじっくり見てもらって(そんなに長く放送することはないだろうが)、WRC の迫力と面白さを感じてほしい。
しかしこうして WRC の情報を漁っていると、またぞろ生で見たくなってくる。しかし日本でならともかく、海外で、しかも中国で暮らす今は、なかなか長期の休みも取れるものではない。これでチャイナ・ラリーがまた WRC に昇格してくれれば手っ取り早いのだけど、いくらなんでも今更それは無理ですかそうですか。となれば来年の国慶節のあたりにでも上手くイベントがかち合えば、見に行ける可能性は無くもないかも。できればコルシカかサルディニアか、あるいはトルコ、メキシコもいいかも。行く気かよ。
参考 URL:
Rally JAPAN official
三菱 WRC
SUBARU MOTOR SPORTS
World Rally Championship Official
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