北京の街は埃っぽい。元々が内陸に位置し、雨が少なく乾燥した気候で埃が舞いやすいということはある。また春先などは日本にもやって来る「黄砂」の影響も相当なもののようで、街中が黄色く染まるという噂もある。今から来年の春がちょっと恐ろしいわけだが、しかし今現在この埃っぽさの原因は、街のあちこちで行われているビルや道路の建築ラッシュから出される埃と、そして猛烈な渋滞を生んでいる車の多さだろう。
とにかく街中を数十分歩くだけで、なんとなく肌がざらついた感じになる。家に帰って顔を洗うと、首筋や小鼻の周辺などが黒くなっているのがわかる。極めつけは鼻と耳の穴。風呂に入って耳の穴をタオルでぬぐうと、正に真っ黒。鼻もしかりだ。これだけの埃や塵を毎日吸い込んでいると思うと、ちょっとこれは喉や肺の機能に少なからぬ影響を及ぼすと思えてならない。中国の人には呼吸器系の疾患は多いのだろうか。
しかしここまで埃にさらされると、人間の体というものは良くしたもので、自然と防御反応を取るようなのである。それは鼻毛だ。鼻毛が伸びるのだ。それも猛烈な勢いで、ワシャワシャと伸びるのである。北京に来てまだ二週間しか経っていないのに、何度鼻毛を切ったことか。ついこの間切ったからと油断していると、いつの間やら生え伸びて、鼻腔から数本が「こんにちは」している。切る。こんにちは。切る。こんにちは。まあこれも鼻を通して体内に塵や埃が侵入するのを防いでくれていると思えば無下に出来ないが、しかしこの伸び方は尋常ではない。今、私の体の中で、最も細胞分裂の盛んなところは鼻毛であるに違いない。
しかし鼻がこうであるとすると、そのうち耳もこうなるのではないか。気がつくと両の耳から毛がボーボー生えてくるのではないか。毎日鏡でチェックを怠らない私である。
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