北京出張も今日で三日目。昨日までは比較的暖かかったのだが、今朝はかなり冷えこんだ。ホテルからおもてに出てみると、道行く人の吐く息はどれも白い。手をかざして振りかぶると、キンと音がしそうなほどに空気が硬く、そして冷たい。バナナで釘は打てないとしても、凍った鼻毛で薄紙になら穴が空けられそうである。どんなたとえだ。
そういえば昨夜のテレビの天気予報で、今朝の最低気温は氷点下 15℃ になると言っていた(といっても中国語だから当然聞き取れはしない。画面の数字を読んだだけ)のを思い出す。日が昇って少したっているからさすがに気温はそこまで下がっていないだろうが、じゅうぶんに寒い。これが大陸の真冬の本当の姿なのだろうか。
昨晩は北京風しゃぶしゃぶをいただいた。しゃぶしゃぶと一言でいっても、日本と同様に大鍋に具を浸して皆で食べるものから、小さな鍋で個人個人で好きなものを頂くスタイルまでいろいろあるらしい。昨日のお店は後者のほう。どんぶりを少し小振りにしたぐらいの「My 鍋」に肉やら野菜やらをドバドバと入れ、ごま味噌のたれで頂くのである。
まずは定番、牛肉のしゃぶしゃぶ。店員の説明によると、本日の牛肉は通称「ビール肉」というものだそうだ。なんでも飼育過程の牛にたんまりビールを飲ませて、肉質を柔らかくしたのだという。ほんまかいな、と訝しげながらさっそく食う。適度に霜がのっているので、口中でとろけるようだ。美味い。柔らかい。ビール肉、看板に偽りなし。
また北京では羊肉を食べるのは一般的だそうで、しゃぶしゃぶでも定番のメニューだそうである。食べてみると、あの特有の臭みもなくするすると喉を通る。また脂肪分が少ないだけ比較的あっさりした食感だから、こってりとした霜降りビール牛肉と交互に食べると相性もいい。ビールがいくらでも進むという案配である。
最後のシメは麺。しゃぶしゃぶの湯に少し足し湯をして、ぐつぐつ煮込む。肉や野菜から出た出汁が適度に利き、太麺にその汁が絡み合ってこれもまたいける。しゃぶしゃぶを死ぬほど食って破裂しそうなこの腹の、いったいどこにまだスペースがあるのか。でも食えるから不思議。これも一つの人体の神秘だろうか。
北京での生活はまだまだ続く。
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