「リスクテイカー」 川端 裕人:文春文庫
ビジネス・スクール卒業後、ヘッジファンドを旗揚げした三人の若者が、伝説的ファンドマネージャーの出資によってウォール街に挑戦状を叩きつける。最先端の金融工学理論を駆使して、国際為替市場に仕掛けた三日間戦争。そのスリリングなマネーゲームの結末に見える「マネー」の正体とは!(背表紙より)
デリヴァティヴ、オプション、ヴォラティリティ、レヴァレッジ。まるで RPG に出てくる魔法の呪文のようなこれらの単語は、全て本書に登場する金融関連の言葉である。正直言って、全て初めて聞いた言葉だらけだし、そもそもこの物語の基本である”ヘッジファンド”という言葉すら、新聞の経済欄で見かけたような気がしないでもない、というぐらい金融関連にはとんと疎い私である。なので、この本で描かれているマネーの世界を完全に理解することは早々にあきらめて(ちょっとは調べてはみたが)、とにかく読み進めてみた。はっきり言って、これらマネー関連の説明があまりに多すぎて(そして理解できなくて)どうにも中だるみしたところもある。
だが、そんな金融オンチの私でも最後まで面白く読むことができたのは、本書が単なる金融小説にとどまらないからだろう。いい年をした大人が、様々な紆余曲折を経て夢のようなことをやってのけるカタルシス。「ロケット」だったモチーフがここでは「マネー」に変わったが、この爽快な達成感に、著者の名著「夏のロケット」と同様の良質な青春小説の香りを感じるのである。まあもちろん金融関連の事象がきちんと理解できれば、本書をより一層面白く読めるとは思うが。
ところで主人公三人の他にも、一風変わった脇役陣も魅力的。主人公たちに 4 億ドルもの大金をポンと出資する伝説的ファンドマネージャーのルイスや、ゲイの敏腕トレーダーのピート、元 NASA の軌道計算技術者だったルーディなど、誰もが「食えない」連中ばかり。中でも、製鉄に人生を賭けた元技術屋で、ヴァーチャルな金融よりも物作りの大切さを三人に説く、どこか浪花節漂う日本人・タカハシが私は結構好きだったりする。それはやはりタカハシがそうだったように、私が正に物作りの技術屋だからだろうか。何億ドルもの大金を一瞬にして生み出すマネーの世界も刺激的だろうが、やはり現実に手にとって触れる「モノ」を作り出す方に、私は断然魅力を感じるのである。やっぱり俺は金持ちにはなれそうにないですね。
やっと書き込めそうだよ
会社のパソコンの背景もツリーにしたよ
投稿情報: くみごろう | 2003年12 月 2日 (火) 13:48
おおっ、会社から書き込みか。ありがとうありがとう。
で、PCの壁紙、どうせならこっちはどう?
投稿情報: ハマダ | 2003年12 月 2日 (火) 16:35
あれ失敗。
こっちとは、これ↓
http://cara.pos.to/blog/archives/images/tdl2003_saint02.jpg
投稿情報: ハマダ | 2003年12 月 2日 (火) 16:36